【感想】小説「存在のすべてを」

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この記事では、2024年度に本屋大賞にノミネートされた「存在のすべてを」という本を紹介します。

本作は、時効となった誘拐事件と天才画家に関するミステリー小説です。

あらゆるところに伏線が隠されていて、線と線ががつながる感覚を存分に味わえる作品になっています。

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書籍情報

タイトル存在のすべてを
著者塩田 武士
出版社朝日新聞出版
発行日2023/9/7
ページ数499

あらすじ

神奈川県で発生した男児誘拐事件。安否不明となっていた男児は3年後のある日、突然家に帰ってきたものの、犯人は見つからず時効となる。

当時捜査を担当した刑事と、些細なことで親しくなった新聞記者は、その刑事の葬儀を機に再び事件について調査を開始する。

犯人は誰だったのか。事件発生からの空白の3年間に、一体何が起こっていたのか。亡くなった刑事の遺志も継いで、新聞記者が解き明かす。

感想

普段はあまりミステリー小説を読まないのですが、本屋大賞ノミネート作ということで読んでみました。

序盤は、警察の話を中心に展開され知らない専門用語が頻出するのですが、読み進めると全く警察ものではなく、読みやすい作品になっていました。

私が思う作品の見所も含めて、感想を書いていきます。

青天の霹靂

運にも誘拐事件に巻き込まれてしまう当事者たちが、どうするのが最善かを模索し続けます。

本作では登場人物が多く、それぞれの視点から事件についてアプローチされます。物語が進むにつれて空白の3年について、事件に巻き込まれてしまった当事者たちの思いも含めて明らかとなり、徐々にパズルが完成していくところが見所の一つだと思います。

私の知らない写実絵画の世界

知り合いに芸術家界隈がいないため、画家の人生に関する話はとても新鮮でした。

スマートフォンで綺麗な写真を簡単に残せる世の中ですが、写生絵画ではカメラのようなピントの概念がなく、目の前の存在をありのまま表現することができ、見る人を引き込むような作品に仕上がるとのこと。

美術のことは全くわからない私ですが、そこまで言われてみたら一度は見てみたいですよね…

なんと千葉県には、写生絵画専門に取り扱っている『ホキ美術館』という美術館があり、ここに行けば写生絵画を存分に見ることができるとのことです。

千葉に行く機会があれば是非行ってみたいですね!

ホキ美術館

ホキ美術館 HOKI MUSEUM
ホキ美術館は日本初の写実絵画専門美術館で千葉市緑区の昭和の森に隣接しています。

純愛物語

ミステリー小説ではありますが、純愛の要素も見所です。

やや眩しくも感じますが、やはり、昔から知っている相手というのは、特別な存在になりやすいのでしょう。

特別な存在と思える女性が近くにいれば自分の人生はもっと豊かなものになるのは間違いなさそうですし、自分もそんな相手をはやく見つけたいものです。

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